「人を救えるのは人ではないものだけだ」
「仏様だって神様だって人じゃねぇだろうが。人でなしだよ。大体な。ヒトの言葉なんかじゃ人は救われた気にならねぇよ」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人が人を救えるかい、と老人は何処かで聞いたようなことを言った。
「あんた、そんなこととっくに解ってるんだろうに。違うか、オダさん。そうだろうよ。人が人を救うなんて、とんだ傲りだ。救ってくれるのは人じゃあない。だから神だの仏だのが要るのじゃないか。仏に救われようと思ったら仏の道をてめえで歩くしかねえのさ」―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
家族も。
社会も。
愛情も。
過去も。
俺が捨てたのか。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺は、ヒトでなしなんだそうだ。
タイトル:ヒトでなし 金剛界の章
著者:京極夏彦
出版社:新潮社
以下感想なのでネタバレ注意
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