古明堂

『こめいどう』と読みます。主にエロゲの批評などをしております。

Fate/stay night 批評 —全て遠き理想郷— (18866文字)

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その日、少年は運命に出会う———。

 

ブランド:TYPE-MOON

シナリオ:奈須きのこ

公式サイト:「Fate/stay night」公式ページ

 

当ブログ、5周年です。

……いえ、正確に言えば一発目の記事が15年の3月なので、5年と3か月なのですが、まぁ誤差誤差。アレは試運転的な意味合いが強かったのでセーフですセーフ。

飽き性な僕がここまでやってこれたのも、ひとえに皆さんのおかげだったり、自分だったり作品だったり。なんかフワフワした感じで一つ。

まぁこれからも言葉にしたいものを言葉にしていく感じで、自由にやっていこうと思います。

 

さて、たびたび当ブログではFateからの引用を出していましたが、遂に本編です。

実は自分、Fateに2度人生を狂わされておりまして。

1度目はPS2版をプレイした時ですね。 あまりの衝撃に寝食忘れて、あの感動をもう一度という感じでノベルゲーをやってる風味はあります。多分Fateに出会ってなかったら僕はノベルゲー今だにやってないだろうなぁ。

2度目はのり氏(臥猫堂)のFate批評を読んだ時ですね。漠然とした「面白かった」に、「Fateの何が凄いのか」「どう凄いのか」を論理的に分かりやすく批評していました。アレを読んで自分も批評を書いてみよう、となりましたし、そうした結果が5年前の「素晴らしき日々 批評」だったりします。

ううむ、運命ですなぁ。*1

 

そんな感じのFate批評。今回はのり氏のFate批評に多大なるリスペクトというか…ぶっちゃけ内容が一緒というか。

そうした理由から今まで記事にはしてこなかったのですが(のり氏以上の価値が見いだせないのならやる意味がない)、臥猫堂は閉鎖しましたし、5周年だから過去を振り返って改めて形にするのもアリかなぁ、と思って作ってます。

いくつか肉付けは行ってますが、今回の記事は僕ではなくのり氏の功績によるものということで一つよろしくお願いします。

 

それでは、以下ネタバレ注意で。

 

*1:ちなみに僕は空の境界でオタクになっているのできのこにはもっと人生を狂わされている。

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5月24日:『アルテミスブルー』『きまぐれテンプテーション』など

5月病の皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

お久しぶりです。生きております(定例挨拶)。

 

そんなこんなでもう5周年。5周年企画をやると言っていたのはいつの日か…。

いえ、ちゃんとやりますがそれは次の記事辺りで、ということで。

 

実は積みゲー、積み本を結構いいペースで消化できていたりして。最近は「合わないなー」と思ったものは投げたりしてるので、そこら辺の思い切りの良さは溜まってしまう人間にはどこかしら必要なのかな、と。

体験版やらずにライターとかブランドで買ってしまう人間なので、たまーに地雷踏むんだよなぁ…。いや、反省する気はないのだけど。

 

というわけで今回は『アルテミスブルー』『きまぐれテンプテーション』『沙耶の唄』について。

いつもの通り、以下ネタバレ注意で。

 

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DEARDROPS 感想 —Let's Rock'n Roll !!!— (4461文字)

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「雨垂れ岩を穿つ、ってね」

「は?何それ?」

「ただ一滴の雫にはたいした力はないけど、そんな雫でも集まれば岩に穴を開けるほどの力になる、って意味」

DEARDROPS——親愛なる雫たち。

俺たちにはピッタリじゃないか?

 

ブランド:OVERDRIVE

シナリオ:那倉怜司

公式サイト:OVERDRIVE 5th Project - DEARDROPS

 

人が80年という長いようで短い時間を生きる上で、避けがたい出会いというモノがあるのならば。もしかしたら、人はそれを”運命”と呼ぶのかもしれません。

DEARDROPSというゲームは、僕にとってそんな”運命”で、いつかはクリアしなければなーとか思ってました。というのも、DEARDROPSはたまたまYOUTUBEで知ったんですけど、それはもう10年くらい前のことなんですよね…。当初は音楽だけ知って(確か最初に聞いた曲は『Natural Born Challengers→』)、実はラストライブなんかにも行ってたり。でも本編の方はPSP版を挫折してからずっとプレイしてませんでした。携帯ゲーム機とノベルゲーって相性悪いんだよな…。

僕の辛かった時期を、疲れた体を、内側から元気付けてくれたのはDEARDROPSですし、これからもきっとそうでしょう。音楽とは、本当にそういう力があるのです。

社会から「ドロップアウト」した爪弾き者の彼らは、それでも音楽を奏で続けます。ロックとは誰かに迎合せず、誰かに操られず、しかして万人の魂を揺さぶるものだからです。ヒュー!ロックンロール最高!!

 

社会から零れ落ちた雫達は、自分たちが決めた道をまっすぐ進む。そうしていれば、例えどんな頑丈な壁があっても穿てると信じて。

これはそんな不器用な人間たちのお話。とどのつまり、ロックとロックンローラーのお話なのです。

 

以下、感想。ネタバレ注意。

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紙の上の魔法使い 感想 ─ラピスラズリの輝きに─ (2778文字)

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「現実に救いはなく、空想に幸福があって───夜子はもう、空想でしか生きられない」

魔法使いの言うとおり。

あたしの現実は、もう終わってしまっているのだから。

「さあ筆を執ろう。夜子のための物語を、夜子自身が描きなさい」

 

ブランド:ウグイスカグラ

シナリオ:ルクル

公式サイト:紙の上の魔法使い

 

ウグイスカグラ処女作。自分のプレイ順としてはイストリア⇒パラレロ⇒かみまほ、という感じですね。ぶっちゃけていえば、この順番がおススメというか…。正直かみまほを一発目におススメは出来ないかなぁ。文章のクセとテーマのクセと描き方のクセが凄いので、パラレロかイストリアをやって慣れるのがよいのではないでしょうか。

つーかよくこのテーマで処女作出したな…。いや、同人時代も似たような作品を出しているそうなんで(プレイできてないんですけど)、そこらへんも酌んで作ったんでしょうか。分かりませんが。

 

そんな紙の上の魔法使いは、嘘が得意な少年と他者を排撃する少女によって語られます。

空想の幸福と、現実の苦しみ。はたして、そのどちらを選ぶべきかは、一体どんな本に描かれているのでしょうか。

 

ひとは退屈な嘘をつく

政治について、神について、愛について。

きみは、ある人物のすべてを知るための質問を知っているね。

あなたの一番好きな本はなんですか?

───ガブリエル・ゼヴィン 『書店主フィクリーのものがたり』

 

以下感想。ネタバレ注意で。

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1月13日:『ルリのかさね』『ランスX~決戦~』など

明けましておめでとうございます、生きております(定例挨拶)。

 

たびたび言っているのですが、まぁ私生活がどうもドタバタしてまして。いえまぁ、ドタバタ自体は11月に終わっていたのですが、ランスXが…面白すぎて…。よくあるよくある。

 

しかしまぁ、いくつか纏めておきたい内容の話もチラホラ出てきまして。どういう形で出すかはわかりませんが(批評の一部か久しぶりの雑記か…)、いつか出せればいいですね。ここで言った話を実現した試しはないんですけども。

前回の日記とかでは「今年は10本くらいは…」とか語ってましたが、全然達成できなかったり。うんうん、よくあるよくある。

そろそろブログ5周年なので何かデカい記事でもかければ、とかなんとか。いや、5周年記念という形で出すならそろそろ着手しなければならないのですけどね。

 

というわけで今回は『ルリのかさね ~いもうと物語り~』『JQV人類救済部』『ランスX ~決戦~』の話。

以下ネタバレ注意で。

 

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景の海のアペイリア 感想 ―<わたし>の在り処— (4914文字)

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受け入れろ。お前はお前だ。

今ここにいるたった一人のお前しかいない。

他の何者かになれるわけがない。

 

ブランド:シルキーズプラスDOLCE

シナリオ:範乃秋晴

公式サイト:景の海のアペイリア

 

なんか最近妙にSF作品に触れる機会が多いんですけど、やっぱりAIを主題にしたSF作品は最近ならではですよねぇ、とか。

一番直近の作品なら”三体”がオススメだったり。異文明とのファーストコンタクト…。まぁSFならではのテーマであり、これは問われるべき問題なのかなぁ、とも思います。

 

というか、シルキーズプラスは”ななリン”からやってるんですけど(なんなら立ち上げ当初から知ってる)いつの間にこんな系列が増えたんですか…?そもそも、系列を増やすことに何の意味があるのかという疑問もあるんですけど、そこらへんは経営的判断なんですかねぇ。評価が低い作品を出した次の作品は売れにくい、みたいな。

まぁそこらへんを含めてシルプラは比較的安心できるメーカーですし、企画/シナリオの範乃秋晴は僕も”あの晴れわたる空より高く 批評”で書いた通りGoodシナリオライターなので余計な不安はなかったのですが、十分に期待を上回ってくれましたね。

科学ネタをちゃんと描けるライターってとても珍しいので、皆さんも買うといいですよ。

 

そんな景の海のアペイリア感想。今回は自己と、そして小話として僕のAI論を少しだけ。

<わたし>とは何か。自我とは何か。意識とは何か。

そんな哲学上の論争が、AIの台頭によって現実上の問題になっているというのは少し面白いですね。僕も大手を振ってこの種の話ができるというものです。

 

以下ネタバレ注意

 

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アメイジング・グレイス-What color is your attribute?- 感想 ―美しさの定義― (3802文字)

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「作品が……美しくある必要は、あるのでしょうか」

「……芸術って、そういうものじゃないのか?」

「何を持って人は美しいと言うのでしょうか。色ですか。形ですか」

 

ブランド:きゃべつそふと

シナリオ:冬茜トム・しげた

公式サイト:アメイジング・グレイス -What color is your attribute?-

 

2018年萌えゲーアワードシナリオ賞金賞である今作。

梱枝りこ氏原画シリーズはなんだかんだで「いきなりあなたに恋してる」*1以来ですね。なんとゆーか昔の印象を引っ張ってるので、(昔も良かったのですが)CGめちゃくちゃキレイじゃん!とびっくりしてしまいました。

特にユネとかは、彼女自身のアクセサリーがとても豊富で、なんというか「女の子らしさ」を存分に感じたり。そうそう、こういうのがいいんだよこういうのが!

 

で、一応こんな可愛い絵柄をしつつ、本作のジャンルとしてはクローズド系終末ファンタジックループものです。わかりやすく言えば少しほのぼのした「はるまで、くるる」*2みたいな。

久しぶりにこういうサスペンス作品をやったせいか、非常に楽しめました。

次々と明かされる謎。テンポよく変わる展開。一方で、芸術という存在の荘厳さと恐ろしさ…。

様々な要素が混ざり合い、しかしその一つ一つが丁寧に必要不可欠な形で構成されている…。さすがシナリオ金賞!という感じですね。

調べてみたらライターの前作(もののあはれは彩の頃。)も高い評価を得ているようで。僕アレOPだけ見て「いやコレ地雷臭がするな…」と思った記憶があったのですが、名作だったのか…。買わねばな、とかなんとか。

 

今回はそんな今作が論じた「芸術」についてのお話。

当然のことながら、芸術の話は今作の主題ではなく、むしろ舞台設定に近いものなのだけど、まぁそれはそれ、これはこれということで一つ。

 

以下ネタバレ注意

 

*1:メイドがめちゃくちゃ可愛いゲームです。買え

*2:ハーレム終末モノです。買え

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