ブランド:キャンディソフト
シナリオ:かずきふみ
公式サイト:ガンナイトガールofficial web site
―――いずれ戦地に赴くあの人に、俺はなにをしてあげられるだろう。
というわけでガンナイトガールを先日クリアしたので、所感というか、そういうものを書いていこうかな、と。
別に詳しい考察をする気もないし、軽く作品の感想とコンセプトを推論したり。
まぁ言ってしまえば批評空間の長文コメントみたいな感じですね。
そういう軽い感じで、ネタバレ注意。
(以下感想)
作品感想
まずはおおまかな感想から。
色濃いキャラクター達、質の高い日常パート、更にその中に忍び寄る”ラボ”の実験…
むしろ軍事モノというより、若干のミステリ要素とバトル要素を混ぜた学園モノと言ったほうが適切なんじゃないかって感じの本作でしたが、僕の中では普通に良作という評価で落ち着いています。
巷で見かけるのは主人公がうざいという評価でしたが、まぁ僕はそこまで気にならず(なんとなく「ああコイツは嫌いな人多いだろうなぁ」とか思いましたが)そこそこ楽しめました。作中での彼の行動も納得できるものも多かったですし…(これはフォローなのか?)
むしろ先に「ミリタリ要素はあんまりないよ」って情報があって助かったかもしれませんね。サンキューDMM。
さて、シナリオについて触れていきましょうか。
攻略順は「ましろ」→「恋歌」→「志乃」→「環」→「小夜子」という感じで、まぁ後ろ二人は固定なのでとくに意味もない気もしますけどね。
各ルートの感想はおいておくとして、すべてのルートを統括して一言言ってしまうなら、なんか物足りねぇ!って感じでしょうか。
ましろ・恋歌・志乃・環のルートのデキが良すぎたせいで、トゥルーの小夜子ルートが少し霞んでしまってますね。
それに後述しますが、小夜子ルート以外の4ルートはコンセプトが揃っているんですが、このルートだけ他のルートと毛並みが違うせいで、すこし物語に一貫性がなくなっているように感じました。もちろん、伏線の回収、ガンナイトによる激しい戦いなど、多くの興奮はあったのですが、やはり毛並みが違うという言い方しかできないですね。
結局
結局、この作品はどういうことを伝えたかったのか、というお話。
再読もしてないし、そういう意味では乱雑な推論ではありますが。
僕が思うに、これは”軍”のお話ではなく、一つの青春活劇のようなものだと捉えることが出来るのではないのかな、と。(軍はあくまで舞台装置の一つという解釈です。問題の多くはラボに起因するものですし、軍というのは”燃え”担当のような気がします。ナナミンが先輩にあまり敬意を払っていなかったりなど、顕著ですね。もちろん、なかよしでいるためにはそういう上下関係を取り払う必要があるんでしょうけど)
ただ、ここで一つ面白いのは、青春活劇にある「ヒロインの問題(トラウマ・異常性
)」を「解決」しなかった事にあるます。
例えば、ましろの異常行動(薬や、あるいはそれを服用しても戦いたいという意志)
例えば、恋歌の異常性癖(言うまでもなくドMですね)
例えば、志乃の精神的な弱さ(銃が撃てないというよりは、依存に近い関係性を持ってしまうことでしょうか)
例えば、環の身体的異常(御存知の通りオーバード、体の多くが人工物らしいですからね)
例えば、小夜子の異常性(ヤンデレとか、近親相姦とか、主人公に対する異常なまでの執着とか)
そういったものを、主人公は解決(あんまりこの言い方も良くないのですが)するどころか、ヒロインのそういった”在り方”を認めていきました。
僕は今まで様々な恋愛シュミレーションゲームをやって来ましたが、こういった解決方法というのは初めて見ました。
でも、きっとそっちのほうが正しい気がします。彼女たちが変えるべきと思っていないことを、こちらが無理に変える必要なんて無いんですよね。そこも含めて、彼女たちの一部なわけですから、そういうことを受け入れていくのが、彼女たちと共に歩もうとした者の責任だと、僕は思います。
軍人という立ち位置は、彼女たちが独り立ち出来やすい(いわば、彼女たちが彼女たちなりの”異常”な生き方を貫く)状態を作ったともいえます。ましろ・恋歌は戦争が終わったからお疲れ様、主人公と幸せな日々を!という感じでしたが、環は軍の中にいることを選んでいるので、主人公は会いに来たよという(まぁここは環ルート内での主人公の成長もありますが)感じでしょうか。志乃は軍人をやめるという選択を意志を持って決めましたし。軍人であることが前提としてあるのではなく、軍人というベースがあって、彼女が彼女たちなりに何を選択していくのか、そしてそれを主人公はどのように”受け止めて”いくのか。
いわば、ガンナイトガールの主題はここに集約されるでしょうね。
小夜子ルートのラストなんて、小夜子の頼みを聞いて、首のプラグを外してしまうわけですし、そういう意味でも選択を”受け入れている”主人公なわけでありましょう。
もちろん、なんでもかんでも聞いてるのではなく、主人公自身の選択も関わって、まぁそこらへんは半々のような気もしますがね。
あと、毛並みが違ったといったのは、今まで”軍”というものを4ルートで押してきたのに、小夜子ではひっそりとなりを潜めてしまい、ヒロインズVSシックスというラボ周りの戦いになってしまったため、僕はそう感じたのだと思います。
4ルートでも軍は影薄かったわけですが、やはりヒロインズの選択には軍が関わってきているので…(というか小夜子さんは一体なにを選択したのかというお話もありますね…あの人一貫性ありすぎて選択の重さがないような気もします…)
総括
まぁ、神ゲー!とまではいかなくても良ゲー!という感じの綺麗にまとまった作品ではあると思いました。
巷でも言われていますが、主人公にどれくらいムカつくかでこのゲームの評価は変わる気もしますね。
軍人って大変だなぁ、とかそんなことを思いました。
あとなんで千歳さん攻略できないんですか…!!!!!
(おわり)