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ここにいるすべての人のために

ノベルゲー・思想・小説なんでもござれ。思ったことをつらつら書いていきます。

アルカディアの灯火(楽園の守護者編) 感想

ゲーム(ノベル) 感想

『楽園の守護者』編

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【あらすじ】

時は超人、超獣(通称SB)と呼ばれる特殊な能力を備えた生物が存在する、そう遠くない未来。

人類は、ASB連隊という国連が運営する組織により、SBが引き起こす事件に戦ってきた。

主人公、イース=カリィフォード率いる第12ASB大隊が戦うこととなったSBは―――

「総員、戦闘態勢、ここからは一瞬も気を抜くな。敵は地球最強の男なんだからな」

 

以下、場面と所感。

(ネタバレ注意)

 

「理屈と感情」

これは現実や理屈とは全く別の、感情的な問題なのだ。

100%安全が保証される場所など、この地上のどこを探したって見付からない。

しかし一度何かの問題が生じると、人は言葉を使って微々たる危険を―――

ここでは車の排気ガスを吸うよりも低い危険を―――

拒絶するようになる。

何故かこれまでと同じような、程々の安全では満足する事が出来なくなるのだ。

何処にいてもほどほどの安全しか得られないと理屈では分かっている。

だが、どうしてもガスの不安は脳裏をよぎる。

その不安を抱えながら子供を育てることは、決していい事ではない。

親の不安は、形を変えながら子供に伝染していくものだからだ。

イース

なんとなく、今の日本でも同じ状況があるよな、と思ったり。

理性(理屈)ではわかっていても感情ではわからない、わかりたくないってことは多いよね、ってお話。

後になって見返してみると、子供を育てるということに対してちゃんと考えて向き合ってるイースっぽい考え方ではあるなぁ、と。

家族(子供)と、理屈と感情という、今作の鍵を暗示しているようにも思える。

 

「上に立つ者」

俺は以前にも彼から似たようなことを注意されたことがあったのだ。

部下のためには、自信に溢れた上官らしい上官である必要がある。

そうでなければ、部下たちは安心して戦えない。

内側では心を砕きながらも、表面上は強い上官として振る舞う。

20年経とうが、その鉄則は変わらなかった。

イース

上に立つ者のその責務ですな。

その強さを、20年持ち続けているイースの心の強さ、決心したことを貫く強さが描かれているシーンでもあります。

色々と部活をやってきた自分ですが、先輩という誰かの上に立った時、うろたえたりわからなかったりするとやっぱり恥ずかしいなぁと思うアレに近いものでしょうか。違うか。

「家族と自らの未来」

「分かるだろう、イース。ベサニーはお前に希望を与えようとしている。お前が帰るべき場所と、進むべき未来を、与えようとしている。」

(ユリウス)

家族とは本来そういうものなのではないかな、と思います。

そして、家族という「帰るべき場所」があるからこそ、イースは強い生きる意志という物を持っているのではないでしょうか。

「現実のヒーロー」

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ユリウスはヒーローとして実在しながら、その実映画のヒーロー以上に、深い苦悩の中にあるのだった。

イース

ヒーローであるからこそ、力があるからこそ苦悩を抱えるという、ユリウスの繊細な一面が表れるシーンですな。

そして、苦悩を抱えるからこそ人間という、ボクの好きな感じの文章が出てくる場所でもあります。

彼の子供のような性格も此処に起因するものでしょう。

ヒーローは子供だけの特権ですから。

 

 

 

たったひとつの冴えたやりかた

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多くの人は、自らの選択を正しかったと思い込みたいと、そう思います。

それは別に間違ったことではないし、ボクもそうしてしまうことは多々あります。

なぜなら、本当の映画のようなハッピーエンドは現実にはなく、自分が精一杯やっても、最高の結果には手が届かないという事がほとんどだからです。

そんな世界の理不尽に、人は耐えられないのでしょう、だから人は自分を正当化してしまう。

だけど、イースは強く、誠実な人間だった。

そして、彼が失ったものは、あまりにも大きく「正しかった」「仕方がなかった」なんて言えなかった。

だからこそ、彼は自らの選択を正しいと思わず、後悔し続けているのでしょう。

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【感想】

非常に安い値段、かつ短編でありながら、綺麗に全てをまとめた良作だと思います。

設定、世界観共に非常に飲み込みやすく、それでいて引き込まれる面白さがありました。

仲間が次々と倒れていき、それでも唯一無二の親友であるユリウスとの約束と信念を守ろうとした主人公、イースは大人としてのかっこよさがありました、いいですね、こういうキャラ。

タイトルの「楽園の守護者」というのは、人類や友との信念を守ろうとしたイースと、いつまでもヒーローであろうとし最後までヒーローであったユリウスを指しているのでしょう。